年末はどうして「第九」?!ベートーベンを知ってから聞いてみよう|ノアミュージックスクール ピアノ教室

■ 知ってるのはほんの一部分かも!?「交響曲第9番」通称第九とは


誰もが耳にしたことのあるベートーヴェン第九。 曲名を言われてピンと来なくても、有名な部分を聞くと「聞いたことある!」と思う方も多いのではないでしょうか? 実はこちらの音源を聴いていただくと分かるように、皆さんがテレビなどでよく聞くあの"第九"は、ほんの一部なのです。 第1章〜第4章まであり、すべて合わせると一時間超にも上る大作です。 私たちがよく耳にする部分は、実は第4章「歓喜の歌」という部分です。


■ 年末に「第九」を演奏するワケ


日本では第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)、日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)が、12月に3日連続の「第九コンサート」を行って絶賛され、年末に「第九」を演奏する習慣へと受け継がれています。恒例となった年末の「第九」には多くの聴衆が集まりましたが、まだ戦後の混乱期を脱していなかった時代ですから、オーケストラにとっては安心して新年を迎えるための臨時収入に。さらには「うたごえ運動」を背景として合唱が盛んになり、アマチュア合唱団が「第九」を歌い始めます。コンサートには合唱団員の家族や友人たちが駆けつけたためチケットが売り切れることもしばしば。こうした状況が功を奏し、年末の「第九」が完全に定着したと言われています。


■ 耳が聞こえなくても作曲し続けた「ベートヴェン」の生涯


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは1770年12月16日前後に、ドイツのボンでこの世に生を受けました。ベートーヴェンの生家は、宮廷歌手として成功したベルギー系移民の祖父ルートヴィヒ・ヴァンをはじめとする音楽家の家系でした。
しかし、父のヨハンは歌手として大成することなく呑んだくれになり、家計を祖父の稼ぎに頼っていました。ベートーヴェンが幼少の頃に祖父がこの世を去り、とたんに困窮するようになります。
 不摂生によって歌手生命が既に終わっていたヨハンは、当時世間を賑わせていた天才音楽家のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトにヒントを得てベートーヴェンに音楽教育を始めます。ヨハンは、ベートーヴェンを第二のモーツァルトにするべくピアノ演奏を教え込み、7歳で演奏会に参加させたのです。ヨハンによるプロデュースは、必ずしも成功と言えるものではなかったものの「早熟の天才」ベートーヴェンの存在を示すには十分なものであったのは確かです。10代になる頃には、ベートーヴェンは同名の祖父に代わって家計を支えていたのです。


 ベートーヴェンが16歳の時、訪れたウィーンで念願であったモーツァルトとの対面を果たします。この時、モーツァルトは30歳で「フィガロの結婚」の公演を成功させた頃でした。ベートーヴェンは、モーツァルトへの弟子入りを希望していたのですが、母マリアの突然の訃報によってボンへとんぼ返りしなければならなくなります。
この4年後にモーツァルトも鬼籍に入ったため、ベートーヴェンはモーツァルトの弟子になることは無かったのです。
22歳の時には、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンに師事したベートーヴェンは母に続いて父ヨハンを病気で失うことになります。こうしてベートーヴェンは弱冠22歳で弟二人を抱えて音楽の都ウィーンで新しい音楽家人生を歩み始めることになります。
ベートーヴェンはハイドン以前にも、宮廷オルガニストを勤めていたクリスティアン・ゴッドロープ・ネーフェにも師事していましたが、本格的な作曲技術を学ぶことになったのはハイドンに師事してからです。1794年、ベートーヴェンは処女作となる「ピアノ三重奏曲」を発表し少年演奏家を脱却し音楽家としての道を歩み始めるのです。


 1798年、ベートーヴェンが28歳の時に自分の耳が聞こえづらくなってきていることに気がつきます。現在では、ベートーヴェンの難聴の原因は「耳硬化症」であったのではないかと言われています。
耳硬化症は、鼓膜からの振動を内耳に伝える耳小骨の骨細胞が増殖・硬化することで音が伝わりにくくなる症状です。難聴には伝音性難聴と感音性難聴の二種類があるのですが、耳硬化症が進行すると伝音性難聴から感音性難聴になると言う性質があるのです。つまり、「音が聞きとりにくい」が「音が聞こえない、音が出たのがわからない」になっていくのです。この症状は、音を楽しむ音楽を作りだすベートーヴェンにとって致命的なダメージであったと言えます。この難聴を自覚してからのベートーヴェンの症状は日に日に進行していきます。


30歳になるころにはもうほとんど聞こえなくなっていたようです。この難聴を苦にしたベートーヴェンは自害までも考えていたようです。しかし、演奏家を含めた従来の音楽家から作曲専業としての音楽家に転進することでベートーヴェンは音楽家としての道を繋ぐことを決意したのです。


 難聴に向き合うようになったベートーヴェンは、次々に楽曲を量産していきます。特に1804年から1814年までの十年間は「傑作の森」と呼ばれるベートーヴェンの黄金期となります。この時期には「エロイカ」「運命」「田園」などの交響曲やピアノソナタ、オペラ用楽曲などが製作・発表されています。この時代に作られた楽曲は、ベートーヴェンが生涯に製作した楽曲の半数を占めるほどの量と完成度を持っているのです。


 晩年のベートーヴェンは、「交響曲第九番」「荘厳ミサ曲」などを作曲しています。しかし、この頃のベートーヴェンにはある悩みがありました。それは、甥のカールのことです。ベートーヴェンは三兄弟の長男だったのですが、1815年に次男のカスパールが妻子を残して夭折してしまったのです。ベートーヴェンはカールを自分の後継者に育てたいと考えていたので、カールの養育権を主張し三男のニコラウス・ヨハンとカスパールの妻ヨハンナと対立することになります。
しかし、カールにとってこの伯父の動きは重圧以外の何物でもなかったようです。カールは、かつてベートーヴェンが難聴に悩んだ時のように、自らの命を絶とうとしましたが未遂に終わっています。弟との対立やカールとの軋轢などで、ベートーヴェンは数年間作曲活動を停滞させています。
そして1827年3月26日、ベートーヴェンは患っていた病で56年の生涯に幕を下ろします。その最後は、見えない相手をにらみつけるように構えて、「諸君、喝采を。喜劇の終わりだ」と呟いたと伝えられています。


■ 第九だけじゃない!ベートーヴェンの有名作品


交響曲第三番「エロイカ」


ベートーヴェンが、革命で揺れていたフランスを平定した英雄ナポレオンに捧げるべく作曲した交響曲です。しかし、ナポレオンが皇帝に就任したという知らせを聞くと「奴もまた俗物に過ぎなかったか。これから、人々の人権を踏みにじって自分の野心のためだけに奔走し、誰よりも自分が優れていると誇示する暴君になるのだろう」と激怒し、献辞が書いてある表紙を破り取ったというエピソードも伝えられています。


交響曲第五番「運命」


「ジャジャジャジャーン」という、独特の旋律から始まる交響曲第五番「運命」は広く人気を集めるクラシック曲です。ロマン・ロランの評するいわゆる「傑作の森」の一角をなす作品で、この作曲家の作品中でも形式美・構成力において非常に高い評価を得ており、ベートーヴェンの創作活動の頂点のひとつといわれています。

交響曲第七番

交響曲第七番は、ごく近年になって再評価され始めた交響曲といえます。ドラマ「のだめカンタービレ」で、メインテーマとして扱われたことによって知名度を高め、ベートーヴェンの隠れた代表曲として扱われるようになってきました。


第8番「悲愴」


ピアノソナタ第八番「悲愴」は、ベートーヴェンが表題をつけた数少ない楽曲の一つです。この曲を作曲した当時は、まだピアノは主流の楽器ではなかったことを考えるとベートーヴェンの野心作であると位置づけられます。


第14番「月光」


ピアノソナタ第十四番「月光」は、本来ピアノソナタ第十三番とセットで作られた楽曲です。しかし、「月光」だけが有名になってしまいその本来の意味は失われつつあります。「月光」は、ベートーヴェンが想い人の女性に贈った曲としてもその名を知られています。


第23番「情熱」


ピアノソナタ第二十三番「情熱」は、ベートーヴェンの楽曲の中でも高い完成度と評価を誇る最高傑作のひとつといわれています。その名の通り情熱的な旋律を持ち、ベートーヴェンの「音楽の頂点を目指す情熱」が伝わってくる名曲といえます。


■ ベートーヴェンをもっと知りたいならおすすめの本


ベートーヴェンの生涯 (平凡社新書)


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作者 青木やよひ
出版社 平凡社
出版日 2012年11月19日
手紙や日記、会話帳などの資料を用いて彼の自由人な姿を、豊かに描き出しているのです。著者はこの本に、50年あまりの月日でのベートーヴェン研究の費やしているとあって、新書の少ないページ数の中でもしっかりと情報が詰まっています。

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ベートーヴェンの真実


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作者 リディア・ニブリー ラッセル・マーティン
出版社 PHP研究所
出版日 2012年06月02日
300曲もの楽曲を世に送った偉大なる作曲家、ベートーヴェンがその死の床で少年に形見として渡した髪の房がメインとなるノンフィクション作品です。ノンフィクションとは言っても生い立ちの記述などに推測も多くあり、あくまでも物語として描かれています。

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ベートーヴェンの交響曲 (講談社現代新書)

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作者 金 聖響, 玉木 正之
出版社 講談社
出版日 2007年11月16日
ベートーヴェンが作曲した9つの交響曲を、指揮者の視点から1つ1つ解説するといった内容の本です。曲の主題などに触れるだけではなく、楽曲のリズムであったり、休符の長さであったりと本当に細かく取り上げられています。また、楽曲そのものだけでなく、「演奏」自体にも言及をするため指揮者としての視点があますところなく発揮されているのも特徴です。

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