はじめに

クラシックだけではなく、ジャズやポップスなどでも演奏され、習い事としても非常に人気の高いバイオリン。皆様はどのようなイメージをお持ちになられていますでしょうか？
バイオリンは優雅で美しく、奥の深い楽器です。その材質や製法、仕上げ状態など様々で、それらによってバイオリンの見た目や奏でる音、価値などが変わります。
本記事ではバイオリンの生産国による違いをご紹介させて頂きます。

■ 生産国や作り手によって差が出るバイオリン

　バイオリンは生産国によって特徴や価格が変わります。また、作り手による個性もあります。1万円のものもあれば100万円以上のものもあり、木材や弦の材質など、沢山の種類があります。また、年代による違いもあり、製作年代の古いものから、オールド、モダン、コンテンポラリーと分けられています。

■ イタリア

　現存する最古のバイオリンを製作したイタリアは、バイオリン生産国として大変有名です。ストラディバリ、アマティらの製作者を輩出しており、現在でもクレモナでは高級バイオリンが製作されています。また、オールドに分類される1545〜1800年製のバイオリンのほとんどはイタリア製です。バイオリンの主要なメーカーはジョバッタ・モラッシーやフランチェスコ・ビッソロッティなどです。

■ ドイツ

　17世紀初頭にイタリアのブレシアからバイオリン製法の伝わったドイツ。バイオリン製作の大規模なギルドが形成されており、優秀な製作工房が多いです。また、アマチュア演奏家でも手の届くラインナップの楽器が豊富です。代表的なメーカーは、ギュンター・ローベ、クラウス・クレメント、ハーゲン・ヴァイゼなどです。

■ フランス

　フランスでは比較的古くからバイオリンの製作がされており、オールド〜モダン期にはニコラ・リュポの出現をきっかけとして、黄金期を迎えています。また、フレンチ・バイオリンは楽器の平均のクオリティが高いとされています。有名なフランスのメーカーはビヨーム、ルポー、シャノーなどです。

■ 東欧

　チェコやハンガリーなどの東欧は著名なバイオリン演奏者を多々輩出しており、製作においても盛んであったとされています。東欧のバイオリンはクオリティが高く、コストパフォーマンスの高いものが多く感じます。ポピュラーなメーカーは多くありませんが、歴史あるハンドメイドのメーカーなどが活躍しています。

■ 中国

　近年のバイオリン生産量が世界一の中国は、価格の幅も広く、またその技術も大変高いとされています。リーズナブルな価格帯のものでも音量、音色共に優れているものもあります。また、最終工程に関しては別の国で行うこともあります。代表的なメーカーはGEWA、イーストマンなどです。

■ 日本

　日本製のバイオリンは細部まで丁寧に作られているものが多いです。そのため外観が非常に美しいです。1887年に鈴木バイオリン製造が創業され、それ以来は日本でも製作が盛んに行われています。しかし、量産できる工場は少なく、優秀なアメリカ製のものなども輸入販売されています。日本の代表的なブランドは、ヤマハやスズキ、ピグマリウスなどです。

終わりに

　本記事ではバイオリンの生産国による特徴や歴史などを簡単に紹介させて頂きました。優雅で美しいバイオリンはお子様だけではなく、大人になってからの趣味としても人気です。バイオリンは形成された木箱に弦を張っているシンプルな楽器ですが、歴史や生産国などを考えると大変奥深い楽器ということが見えてきます。ぜひこの機会にバイオリンを実際手に取ってみてはいかがでしょうか。